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産学共同レポート

これは、コアピンのような微小部品の疲労強度特性や破壊機構、それらを評価する確かな方法が確立されていないため、2002年から山形大学工学部機械システム工学科の方々と共同で研究をスタートし、現在は山形県立産業技術短期大学校メカトロニクス科の方々と研究を続けています。ここでは学生さんによる研究レポートを公開します。

改良型ダイス鋼小型試験片の繰り返し曲げ疲労強度特性評価

強度特性評価  緒言実験方法結果結言PDFデータダウンロード

緒言

私たちが使っている携帯電話の充電部などのコネクタを見ると、非常に微細な構造をしているのがわかる。このような部品は金属の型にプラスチックを高圧で流し込むことで作られる。その金型はコアピンを組み合わせて形作られており、製品の微細な形状が実現している。

製品の形状および寸法はあらかじめ決められているため、コアピンの設計をする企業は、強度を優先して形状・寸法を決めることが許されない。製品の小型・高性能化が進むにつれて、さらに微細な形状が求められている。

その形状に加え、射出成形毎に繰返し応力が作用するため、コアピンの変形、折れなどの破損事例が後を絶たない。破損の原因は、材料内に含まれる介在物や微小欠陥、加工時の表面傷を起点とする疲労破壊によるものとされている。しかし、コアピンのような微小部品の疲労強度特性や破壊機構はもとより、それを評価する確かな方法はまだ確立されていない。

本研究の目的は、小型疲労試験機を用いて、コアピンに見立てて作成した試験片に繰返し曲げ疲労試験を行い、その疲労強度特性を評価することである。

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実験方法

1.疲労試験片

試験片の形状および寸法を図1に示す。 試験片の材質は、ダイス鋼JIS・SKD12とSKD61をベースとした改良材(IMO−8:山形精研株式会社製)である。

熱処理は、焼入れの後に焼戻しを3回行い、更に残留オーステナイトと焼戻しマルテンサイトの安定化処理を行った。また、形状は研削加工により仕上げた。

厚さ0.2mm部の研削加工時に、試験片の輪郭に沿ってバリが残る。本研究では、バリを加工後のまま残した試験片と、バリをカッターにより落とした試験片の2種類を用意した。試験片表面を光学顕微鏡(BH-2-UMA:OLYMPUS)で観察したところ、バリを残した試験片ではその全てにバリが存在していることが確認された。

図1 試験片の形状と寸法

2.試験条件

負荷条件は、完全両振り(応力比R=−1)、繰返し速度6Hz、変位3.04mmの一定である。本研究では実用上の観点から、繰返し数106回を実験の打ち切り回数とした。

応力振幅は片持ちはりの曲げの式に基づき、次式より求められる。本実験ではE、h、δは一定値であるため、負荷の位置Lを変化させることにより、応力振幅σを調節した。図2は試験片に負荷のかかる様子を表したものであり、Aに示す箇所に応力が集中し、ほとんどの試験片はここで破断した。

図2 曲げ疲労試験模式図

3.破断面の観察

破断後の試験片の破断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM-5410LV:日本電子)で観察し、必要に応じて元素分析装置(JED-2110:日本電子)により元素分析をした。

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結果

1.疲労強度特性曲線

疲労試験はバリを落とした試験片と、バリを残した試験片それぞれに対して行った。図3の疲労強度特性曲線は、2種類の試験片が破断するまでの繰返し数Nfと応力σの関係及び、後述する一定応力振幅1600 MPaでの結果を重ねて示したものである。

両試験片に共通して言えることは、応力振幅σが高いと試験片は少ない回数で破断したこと、低い応力振幅では試験片の寿命は飛躍的に延びることである。また、バリを残した試験片のほうが早く破断する傾向が見られた。

本研究で得られた106回を満たす時間強度は、バリ無し試験片で1550 MPa、バリ有り試験片で1500 MPaである。

図3 疲労強度特性曲線

2.一定応力振幅における結果

繰返し数のばらつきを調べるため、両試験片(バリ無し14本、バリ有り18本)に対し、一定応力振幅1600MPaで試験を行った(図3参照)。繰返し数からばらつきの度合いを示す標準偏差を求めると、バリ無しでは490000、バリ有りでは970000となり、バリの有る試験片の繰返し数の方がより大きくばらつくことがわかった。

3.破断面の観察

一定応力振幅での試験で破断した試験片を中心に、走査型電子顕微鏡を用いて破断面の観察を行った。結果、疲労き裂の発生源には大きく分けて3種に分類できることがわかった。

介在物型

図4にき裂発生源となった介在物(左図矢印)と、これを元素分析したもの(右図)を示す。緑で示された部分はFe、赤で示された部分はAlである。よって、この試験片の介在物はAlが析出したものであることがわかる。

図4 介在物及びEDS分析の結果(バリ有り試験片、1460MPa、Nf=19824)

研削痕型

図5は研削痕が原因で破断した試験片の破断面である。介在物からのき裂が1点から発生するのに対し、研削痕からのき裂は研削痕の広い範囲から発生する特徴がある。

図5 研削痕型の破面(バリ有り試験片、1500MPa、Nf=1847668)

バリ型

バリを残したままの試験片において、試験片角部に存在するバリを起点として破断しているケースが多く見つかった。図6は起点となったバリを示したものである。

図6 き裂発生源となったバリの様相(バリ有り試験片、1500MPa、Nf=110371)

4.疲労寿命分布

3.2で得られたような一定応力下での試験結果には、ワイブル分布を用いて検討することが統計的に有効であるとされている。

図7は3.2で得られたデータのワイブル分布を両試験片ごとに求め、一本一本の破壊原因と合わせてプロットしたものである。データをプロットすると、それぞれのデータは傾きの異なる2本の直線で構成されることがわかる。この直線は最小二乗法で求めたもので、傾きの大きい直線上にあるものは短寿命、傾きの小さい直線上にあるものは長寿命であることを示している。短寿命:長寿命の比は、バリ無しで4:3、バリ有りで5:1であり、バリの有る試験片は特に短寿命に集中することがわかる。さらに、バリ有り試験片の50%がバリを起点として破壊していた。もし、これらの試験片がバリの影響を受けなかった場合、いくつかのデータは長寿命側にプロットされていたはずである。つまり、試験片のバリを取り除くことで試験片の寿命を長寿命側に引き上げることができると言える。

図7 ワイブル分布と疲労試験片の破壊源(1600MPa)

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結言

  • 本研究で得られた106回を満たす時間強度は、バリの無い試験片では1550 MPa、バリの有る試験片では1500 MPaが得られた。
  • 試験片のき裂の発生源は大きく分けて、「介在物」、「研削痕」、さらに「バリ」の3つのタイプに分類される。
  • バリを取らない試験片においては、破壊源の50%がバリによるものであった。このため、加工後のバリを取り除くことは結果的に疲労寿命を延ばすことにつながる。

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より詳しい内容を下のPDFにまとめましたのでご覧ください。

以上:山形県立産業技術短期大学校 メカトロニクス科 −卒業− 加藤 尭

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